2020年5月18日月曜日

明日につながる批評



今年の三月一日に、アノニム塾でお世話になっていた美術評論家の小倉正史さんが亡くなられました。一昨年の秋頃より体調を崩し、入退院を繰り返されていたこともあって、昨年は静かに塾をお休みにしていました。
最後に会ったアノニム塾の時は、それが最後になるとは思っていなくて、結局それから一年以上ずっと会うこともありませんでした。共通の知人の何人かから亡くなられたと連絡をもらったときも、正直言ってしまうと、もういないということがピンときませんでした。ピンとこない中で思ったのは、小倉さんはアフターコロナの世界を見ることなく亡くなったのだなということでした。

先日ローリングされてきた本の整理をしていた時、たまたま手に取った『美術手帖』にソフィ・カルの展覧会評が載っていたので、読みたくて開いたら、それは小倉さんの文章でした。フランス語とフランス文化に堪能で、文学にも造詣の深い小倉さんならではの充実した内容で、明日につながる批評、次につながる批評だなと思いました。もっと作品が見たい!と思ったし、もっと本が読みたい!と思いました。そう思ったら、小倉さんがいないということが急に身に沁みました。
もっと話を聞きたかったような聞きたくなかったような。小倉さんは相手のレベルに合わせて話ができる人で、私にとっては少し怖い存在でもありました。
五年もの長きにわたって、しがない田舎のギャラリーに毎月足を運んでくださり、本当に感謝しています。小倉さん、ありがとうございました。ご冥福をお祈りいたします。









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